函館ベイサイド・リベンジストーリー ♯6
2015-09-17


ホテルを出たタクシーは函館山ロープウェイ山麓駅前を通り、警備員さんが出入りを規制している登山道へ難なく入っていく。タクシーのドライバーは、これが妻とも共通見解なのだが、俳優の小林隆さん(三谷幸喜作品の常連、気の弱そうな役が多い)にそっくリな温厚そうな方。我々夫婦は心の中で「コバさん」と呼ぶことにした。ロープウェイ山麓駅は、これから函館山へと登る観光客でぎっしり。すし詰めでの登って往復4,800円。タクシーは約1時間半の貸し切りで4,600円だ。くねくねと細い登山道を温厚な顔つきに似ず、アグレッシブな走りでコバさんは進んでいく。子どもたちは後部座席で「マリオカートみたい」とカーブの度に喜んでいる。
時刻は18:00を過ぎ、少しずつ暗くなってきた函館の街を2合目から4合目、6合目と多彩な高さから楽しめる。ビューポイントでは停車してゆっくりと見せてくれる。しかもコバさんの観光解説付き。心なし声も台詞回しも本物のコバさんにそっくリ。完全な夜景もキレイだろうが、暮れゆく空の下、街の灯が段々と輝き出すこの時刻も美しい。
山頂の観光駐車場に着くとコバさんは一緒にクルマを降り、「さあ、夜景の穴場へお連れしますよ。そこで写真を撮りましょう。その後は心ゆくまで夜景を楽し んで、この駐車場まで私を呼びに来てください。そうしたら、もう一度、今度は真っ暗になった夜景をバックにみなさんの写真を撮りましょう。」なんだか至れ り尽くせりなトーク。
通常の散策ルートは、ロープウェイ山頂駅で降り、そのまま通路を右へ曲がり、お土産店の前を通って山頂展望台へと進む。しか し、ロープウェイを降りてすぐ、左側の小さな出口を出ると、展望台の少し東下に散策路がある。そこからの夜景は展望台からとほとんど遜色ない。我々と同じ ようにタクシー利用者が数人いるだけ。こいつはいい!
禺画像]

いつもは家族4人揃った写真など人に撮ってもらうことはしないのだが、コバさんが熱心に勧めるのでお願いする。カメラでパチリ!スマホでもパチリ!娘のスマホでもパチリ!「コバさん、もういいです」と言いたくなるほど何枚も何枚も。しまいには「みなさん函館の街の方を向いてください。眺めているところも撮りましょう」と。コバさん、それ必要ですか?
そんなこんなで写真を撮り終えるとコバさんは、「展望台やお土産をご覧になってきてください。時間は気にしないで、心ゆくまで楽しんできてください」と言って駐車場の方へと去っていった。その後ろ姿は、本物のコバさんが演じたNHK大河ドラマ「新選組!」の井上源三郎みたいにカッコよかった。おっ、ここでも新選組つながりだ。
[写真]
[つれづれ]

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